今日も今日とてディアパソンの整調です!
整調の基本は部品の、
・高さ
・距離
・幅
をそれぞれ揃えていく作業になります。


鍵盤の深さを見る作業。『鍵盤あがき』といいます。由来はなんじゃろ?

揃えるにあたり、もちろん当てずっぽうでやっているのではなく、ピアノがちゃんと動いてくれる、もっと言えば「良いタッチ」になる寸法が実は決まっています。
ピアノメーカーやタッチ感によって違いがあるものの基準から大きく逸脱することは非常に稀。
複雑な物理的噛み合いがあってはじめてきちんと音が出る仕組みになっているので、その構造を理解した上で調整に挑みます!


鍵盤の下部分に埋まっている紙たち。名をパンチングペーパーと申す。

鍵盤の深さをパンチングペーパーの枚数で調整していきます。
全体的に深めだったので、枚数を足していってぴったりの高さに調整します。


『あがき定規』これだとなにがなにやら……

微妙に傾斜がかかった精密加工された木材を使い、指先の間隔を頼りに高さを計ります。
地道な作業を繰り返すこと52回!
なんでこんな数かというと白鍵の数が52本だからです。
黒鍵はまた別の方法で調整していきますが、お次はこちら。


ハンマーが弦に最接近! ぶつかります!

その名も『接近』の調整。まんまのネーミングです。
ハンマーがぐぐっと弦に近づきある距離までいくと、ぴょこんと後ろにバックする。
感じとしてはすっぽ抜けるような具合なのですがこれが正常なピアノの動作なのです。
力を伝える部品が逃げることでハンマーが後ろに戻り、弦に密着しないように設計されています。
この仕組みはピアノがチェンパロから進化したときにはすでに発明されており、数百年も前の人物(!)によるもの。
凄まじい発想力……!


ねじ回しの要領で調整します。全部で88回!

ジャック(鍵盤の力をアクションに伝える部品)がちょうどよく抜けるようにネジネジしていきます。


隙間から失礼しますよ!

その他もろもろの調整を繰り返すこと小一時間。
調整具合を見てみましょう。


ぎゃあ! バラバラだ!

鍵盤を同じ力で押してみて、ぴたっと止まった瞬間です。
ハンマーストップーーハンマーがどのくらいの距離で止まるかを調整する作業ですが、最終的にこれがピタリと一致しなければなりません。
全体を揃えたつもりでもこのハンマーストップが揃っていなければタッチは揃っていないという証拠。
極限までピタリ賞を狙います!


だいぶ良くなった、が、まだまだいけそう。右が気になる。

部品同士を微妙に調整すること小一時間。
最終的に納得できるところまで調整をして、整調が完了です!

整調作業は地道かつ精密な作業になるためとても大変……
けれどやるとやらないではタッチに大きな差が生まれてしまうため極限集中してばっちり仕上げていきます!
残りは調律と整音のみ。
のみ?